ICPCとは

 旧日本プライマリ・ケア学会国際疾病分類研究会では、プライマリ・ケア国際分類(International Classification of Primary Care:ICPC)の邦訳版の出版(1997年)、プライマリ・ケア国際用語集(An International Glossary for General/Family Practice)の邦訳(2000年9月日本プライマリ・ケア学会誌Vol.23,No.3付録)などの作業を行ってきました。
 その後、WONCA International Classification Committee(世界家庭医機構国際分類委員会)が1998年に出版し、その後改訂している最新版のプライマリ・ケア国際分類第2版(International Classification of Primary Care Second Edition:ICPC-2)の邦訳版の出版にむけての作業を進め、2002年6月に旧日本プライマリ・ケア学会から出版されました。
 ICPC2英語版には、愁訴や病名のコード分類に際しての数多くの類語も含まれるため、日本語版の出版に当たっては単純な邦訳作業だけでなく、日本語の愁訴や病名の表現を幅広く収集して日常診療でのコード化がより効率的に行えるようにし、また、付録CD-ROMに参考ファイルやプログラムを入れたり、ホームページ上での資料提供、ICD-10コードへの変換など、ICPCをさらに使いやすくする工夫を重ねました。
 プライマリ・ケア国際分類(International Classification of Primary Care:ICPC)は、愁訴や病名、診療行為についての世界共通のコード分類です。分類体系はプライマリ・ケアに合わせて簡素でわかりやすく(例えば、ICD-10では風邪はJ00,急性咽頭炎はJ029、急性上気道炎はJ069であるが、ICPCではいずれもR74)、なおかつ、国際疾病分類第10版(ICD-10)からの変換も可能です。
 現在、日本プライマリ・ケア連合学会診療データベース委員会(旧ICPC委員会)が、世界家庭医機構(WONCA)国際分類委員会と連携をとりつつ、国内での啓発活動を行っています。


参考:病名数ICD10:27,651 ICPC2:366


ICPCの歴史

1900年(明治33年) 国際疾病分類初版(International Classification of Disease:ICD)出版(国際死因分類修正会議)
1959年(昭和34年) 一般医療(総合診療)のための疾病分類(英国一般医学会)
1972年(昭和47年) 世界家庭医機構(WONCA)国際分類委員会発足
1975年(昭和50年) プライマリ・ケア健康問題国際分類(International Classification of Health Problems in Primary Care:ICHPPC)出版(WONCA)★ICD-8準拠
1977年(昭和52年) 国際疾病分類第9版(ICD-9)出版(WHO)
1978年(昭和53年) アルマ・アタ宣言「2000年までにすべての人々に健康を」(WHO)
1979年(昭和54年) プライマリ・ケア健康問題国際分類第2版(ICHPPC-2)出版(WONCA)
1983年(昭和58年) プライマリ・ケア健康問題国際分類注解第2版(ICHPPC-2-Defined)出版(WONCA)★ICD-9準拠
受診理由国際分類(The WHO Reason for Encounter Classification:RFEC)出版(WHO)
1984年(昭和59年) 世界家庭医機構(WONCA)/北アメリカ・プライマリ・ケア研究班(NAPCRG)合同国際分類委員会Tietlingen(西ドイツ)会議(重本委員長出席)
1986年(昭和61年) プライマリ・ケア診療行為国際分類(International Classification of Process in Primary Care:IC-Process-PC)出版(WONCA)
1986年(昭和61年) プライマリ・ケア診療行為国際分類(IC-Process-PC邦訳版)出版(重本洋定)
1987年(昭和62年) プライマリ・ケア国際分類(International Classification of Primary Care:ICPC)出版(WONCA)
1989年(平成元年) プライマリ・ケア健康問題国際分類注解第2版(ICHPPC-2-Defined邦訳版)出版
(日本プライマリ・ケア学会国際交流委員会 分類小委員会)
1992年(平成4年) 国際疾病分類第10版(ICD-10)出版(WHO)→1995年改正
1994年(平成6年) 1月22日 第1回日本プライマリ・ケア学会国際疾病分類研究会開催(ICPC翻訳作業開始)
★以後2~3ヵ月毎開催(2002年3月9日は第30回会議)
1997年(平成9年) プライマリ・ケア国際分類(ICPC邦訳版)出版(日本プライマリ・ケア学会国際疾病分類研究会)
1998年(平成10年) プライマリ・ケア国際分類第2版(ICPC-2)出版(WONCA)★ICD-10準拠★
※修正版はMS-ACCESS形式でICPC-2電子バージョンとしてのみ提供
2000年(平成12年) プライマリ・ケア国際用語集(An International Glossary for Practice邦訳版)出版(日本プライマリ・ケア学会国際疾病分類研究会)
2002年(平成14年) プライマリ・ケア国際分類第2版日本版(ICPC-2最新版邦訳+解説編、CD-ROM付き)出版。
その後、ほぼ毎回の学術総会でICPCワークショップ(できない時はポスター発表)開催。
2010年(平成22年) 学会再編により日本プライマリ・ケア連合学会発足。
2013年(平成25年) 学会再編後の委員会の名称が「ICPCプロジェクトチーム」となる。→その後、「ICPC委員会」となる。
2020年(令和2年) 「ICPC委員会」から「診療データベース委員会」に再編